前編はこちら。
購入したNAS本体とHDD
YouTubeの動画と価格コムのレビューを参考にしながら、自宅にNASを導入することの大きなメリットが確認できたので、AmazonでNAS本体とHDDを購入しました。
選んだものは次の通りです。
- NASキット QNAP TS-233(2ベイ)(Amazonで26,000円)
- HDD WesternDigital Red Plus 3.5インチHDD 4TB (楽天市場で16,170円×2枚)
合計で58,340円でした。
当初の予定(4万円くらい)よりもかなり高くなりましたが、ストレージを4TBと大きくしたのと、HDD2枚でRAID1(2枚のHDDに同時記録してデータの障害に備える機能)を構成できるようにしたことが原因です。
NASの本体は、QNAP製(TS-233)とSynology製(DS223j)とで悩みました。どちらもNASのエントリーモデルで、価格は2万円くらいです。
自宅にNASを設置するのが初めてのことだったので、まずは価格的に手頃なエントリーモデルから始めてみよう、という感じです。
価格コムなどのレビューを見ても、「エントリーモデルで十分すぎる」といった声が多かったように思います。(「ただし4k動画の視聴は厳しい」との書き込みがいくつかありました。私の場合、4k動画の視聴は不要と判断。)
写真データの保存と閲覧に困らなければ、私の使用用途としては全然問題ないという判断で、エントリーモデルのNASで評判がいいものを探していると、QNAPかSynologyということになりました。
QNAPのTS-233の方がメモリが2GBと大きかったので(Synology製のDS223jだとメモリ1GB)、この点がQNAPを選ぶ決め手になったような気がします。
HDDは評判がいいWesternDigitalの赤色です。データが飛ぶのだけは嫌だったので、少し高いですがHDDはいいものを選んでいます。
エントリーモデルのNASを自宅で使ってみた感想(完全に失敗)
NASとHDDは注文してから数日で届きました(Amazonと楽天なので早い)。
数年前に仕事でNASをセットアップしたことがあったので、NASとHDDの設置と設定は2時間くらいで終わりました。
ウキウキで導入したNASですが、結論から言うと失敗(大失敗)でした。
アップロードが遅すぎる
まず、NASへのデータのアップロードが遅すぎました。
10GBくらいのデータを試しに何度かアップロードしてみましたが、何回やってもアップロードが全然完了しません。
実際にアップロードにかかった時間などの細かなデータは測定していませんが、「壊れてるのかな?」と思うくらい遅かったです。1時間くらいは平気でかかってました。
NASをメインのストレージにしようと考えていたので、このスピードでの運用だとかなり厳しい(というか無理)、と感じました。
iPhoneからの閲覧が遅すぎる
NASへのデータのアップロードも遅かったのですが、iPhoneからの写真の閲覧はもっと最悪でした。
QNAPのNASの場合、iPhoneからの写真の閲覧は専用のアプリを使用します。
NASの中にフォルダを作成し、試しにそこに何枚かJPEGデータをアップロードしてみたのですが、iPhoneからサムネイルを見ることすらできませんでした。
iPhoneのアプリから写真の一覧(サムネイル)を見ようとしても、ファイル名が表示されるだけで、肝心のサムネイルは表示されません。(サムネイルの画像が表示されず、その代わりにデフォルトの写真のアイコンが表示されていました。)
JPEGデータのファイル名は表示されていたので、データのアップロードはされているのだと思います。
自宅に設置したNASは、Googleフォトの代わりになってもらう予定だったので、サムネイルすら表示されないとなると、全く役に立ちません。
さらに、写真を見ることができないので、写真データがきちんとNASにアップロードされたかどうかの確認ができません。
ストレージとして使用する最低ラインを満たしていない状態です。
最悪の場合、「NASにアップロードして保存している」と思っていた写真データが、実際は何も保存できていなかった、ということも起こりえます。
データのアップロードは遅くて使い物にならないレベル、アップロードした写真はiPhoneから閲覧できない。そもそも写真データのアップロードがきちんと完了しているのかさえもよくわからない。
今回私が購入したNASは、大切な写真データの保存場所としては全く使えず、NASの導入は失敗ということになりました。
NASの導入に失敗した原因を考えてみる
NASの導入が失敗してしまった原因を、素人なりに考えてみます。
NASやらコンピュータやらにそこまで詳しいわけではないので、「素人の適当な考察」くらいに考えてもらえればと思います。
データのアップロードが遅かったことについて
データのアップロードに異様な時間がかかっていた原因ですが、2つ考えられます。
1つ目の原因は、自宅のWifiの速度です。
私の自宅では、NEC製のatermPA-WG1200HP4というwifiルーターを使用していました。
このwifiルーターの通信速度は、理論値で867+300Mbps(1167Mbps)となっていました。
しかしこれは理論的な話のようで、実際の速度は200Mbps〜100Mbpsくらいしか出ないようです。(価格コムのレビューより)
仮に、自宅の通信環境が悪くて100Mbpsしか出ていなかったとすると、一秒間に届くデータ量は0.125Mbyte、10GBを送るためにかかる時間は20時間。。。(ちょうどこのくらいの時間がかかっていたように思います。)
2つ目の原因は、NASの性能です。
そもそも、パソコンからNASの管理画面を操作したとき、iPhoneのアプリを操作したときなど、NASの動きは全体的にもっさりしていました。
なので、NAS本体の性能(CPUやメモリ)が、そもそも厳しかったのだと思います。
データをアップロードする前の設定時からそもそもの性能が不足している印象があったので、NAS本体の性能面の不足が、アップロードの遅さに影響していた可能性も大きいと考えています。
また、NASにはSSDではなくHDDを差し込みましたが、今回のデータのアップロードの遅さはHDDというメディアに起因するものではないと考えています。
HDDへの書き込みは一般的に遅いですが、今回のNASへのアップロードの遅さはHDDの遅さとは次元が違いました。
iPhoneからの写真の閲覧が遅かったことについて
iPhoneからの写真の閲覧がもたついたことについてですが、1枚1枚の写真のダウンロードだけでなく、サムネイルの表示からもたついていました。(もたついていたというか、表示自体がされませんでした。)
データのアップロードの場合は、wifiルーターの通信速度がボトルネック(原因)になっている可能性がありましたが、写真の表示が遅かったことについては、wifiルーターの通信速度以外に原因があったと考えます。
サムネイル画像のデータ量はかなり小さいと思うので、自宅のwifiルーターの通信速度でも全く問題ないはずです。
そうなってくると、NAS本体の性能面でもたついていた可能性が高いかなと思います。
私がNASにアップロードしたJPEGはデータサイズが大きめだったので、NASの性能的に内部で素早く処理ができなかったのかもしれません。
写真データの保管にはエントリーモデルのNASは向かないかも
そういった訳で、自宅へのNASの導入は失敗(大失敗)に終わりました。
ですが、今まで自宅にNASを設置したこと自体がなかったので、いい勉強になったと思います。
また、不要になったNASとHDDはメルカリで売却して、買った時の半額くらいのお金は戻ってきました。差額は勉強代です。
「失敗(大失敗)」などと書いていますが、私はこの記事で、エントリーモデルのNASのことを良いとか悪いとかいうつもりはありません。
フルサイズ機のRAWやJPEGはデータ量の大きいので、「こういった大きなサイズのデータを扱うにはエントリーモデルは適していなかった」、というのが結論になるかと思います。
価格コムの掲示板に「エントリーモデルで十分すぎる」と書き込んでいた人は、iPhoneの画像など大きくないデータの保存先として、エントリーモデルのNASを利用していたのかもしれません。
私の使い方や設定、使用環境が適切ではなかった可能性も十分にあります。特にwifiの通信速度の問題はあるかと思うので、wifiルーターを変えれば劇的に改善をしたかもしれません。(NASをメルカリで売る前に、wifiルーターを高速なものに入れ替えてみればよかったです。)
おそらくですが、高性能のモデル(プロセッサとメモリ)のNASを選択して、高速なwifiや有線LANで接続をすれば、快適さはかなり変わってくる(Googleフォトよりも快適になる)のだと思います。
YoutubeでNASをおすすめしていたプロのカメラマンたちも、上級グレードのNASを使っていました。
私は色々と知識不足でうまくいきませんでしたが、私のようにNASを検討している人の参考になれば幸いです。